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SPS(Spacial Score)を理解する[RDKit記述子]

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目的

RDKitに実装されているSPS記述子を理解する

SPS(Spacial Score)

RDKit version 2023.9.1から実装されています。(#6742)

Adrian Krzyzanowski, Axel Pahl, Michael Grigalunas, and Herbert Waldmann
Journal of Medicinal Chemistry 2023 66 (18), 12739-12750
DOI: 10.1021/acs.jmedchem.3c00689

概要

  1. SPS記述子は分子の空間的な複雑さを表現した指標です。
  2. 以下の式で定義されています。
    $$
    SPS= \sum_{i} h_i s_i r_i n_i ^2
    $$
    ここで、\( h_i \) は、ある原子の構造的な自由度を表現した値であり、sp3, sp2, sp1 の順に\( h \)= 3, 2, 1となります。また、そのほかの結合軌道の場合(spd, sdなど)、\( h \)=4とします。\( s_i \)は、ある原子が立体異性に関わるかどうかを表現した値です。原子が2重結合、あるいは不斉炭素のならば\( s \) =2となります。それ以外は\( s \)=1です。\( r_i \)は、ある原子が環構造を構成しているかどうかの値です。もし、環構造を構成していれば\( r \)=2となり、それ以外は\( r \)=1となります。ただし、芳香環は\( r \)=1です。最後に、\( n_i \)はある原子が結合している重原子の個数です。RDKitにおける atom.GetDegree()の値です。
  3. また、重原子の数で標準化したnSPSは以下の式で定義されます。
    $$
    nSPS= \frac{SPS}{a}
    $$
    ここで、aは分子内の重原子の個数を表します。

SPSの特徴

SPSは、Fraction of sp3-hybridized carbons (Fsp3) や Fraction of stereogenic carbons (FCstereo) などのtopology indexの要素を含んだ総合的な指標であることが特徴です。例えば、式中の\( h \)はFsp3を反映し、\( s \) はFCstereoを反映します。そのため、化合物の複雑性が大きくなるとSPSは大きくなります。

終わり。

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